「何?ワープ一家って?」
「つばさんって学区外からの生徒だっけ?知らなかった?この界隈で有名な一家なの。車で追い抜いても、次の道へ曲がると、必ず前を自転車で走ってるんだって。しかも一家で。あまりにも俊敏だから、ワープしてるんじゃないかって話なの。私は見たことないんだけどね」
「へぇー」
「つばさん、興味なさそうな返事~」
教室にはチビッ子に大人気の妖怪アニメのテーマソングが流れている。
壁に貼られた研究発表を、芽衣子とつばさんは眺めて、それぞれに感想を言っている。
お客さんは、私たちを覗いて他に三名程、他校の制服を着ている学生のグループだった。
ベランダ側の大きな窓から、午後の日差しが入り込む。
お腹もいっぱいで、暖かさに少し眠くなる時間帯。
「元気って言うと嘘になるかな?」
少しの沈黙の後、星夜くんはそう答えた。
家出をした理由も、私に告白したのも、星夜くんは知ってるのかな?知りたいような知りたくないような、私の気持ちはどっちなんだろ?
「でも、まぁ、料理をしたり、掃除機掛けてくれたり。勝手に転がり込んで悪いと思ってるのか、気を遣って色々してくれるよ。何とかやってる。今、兄さんに叔父さんとこ行って貰ってて、僕が兄さんのベッドで寝てるんだけど。友達同士で住むのも、僕的にはなかなか楽しいって思ってるよ」

