フテキな片想い



携帯を覗き込みながら、自分で納得している。


「私、そろそろ」と立ち上がると、ギュッと手を握りしめた。


「俺のお願い、聞いてくれるよね?」


お願い?あぁ、数日前にLINEで送られて来た謎のメッセージ?


「えっと、十五時に南体育館って所に行けばいいんですよね?」


「そうそう。俺、イベントに参加するから、美雨ちゃんに見てて欲しいんだ」


「ちゃんと覚えてますよ。大丈夫です」


「なら良かった」と蛍さんはホッとしたのか、微笑んだ。


しゃがんだままの姿勢で片膝を立てると、上目遣いに私を見て、そっと手の平にキスをする。


その姿が、あまりにも様になっていたので、呆然と見とれてしまった。


はっと我に返り、「何するんですかっ?」と怒った所で、「暫しの別れの挨拶ですよ。プリンセス。私の印は付けました。


もぅ、逃げられないですよ」フフフと怪し気な笑い声を発して、立ち上がる。


「完全にドラキュラ伯爵になりきってますね」


「演技派だからね」


蛍さんにそっと背中を押されると、暗幕の外へ出た。