フテキな片想い



ベージュのブレーザーに赤いチェックのスカート。坂女の制服を着ている。


隣にツインテールの、テンション高い友達がいる。


数歩遅れて、私服の幡谷さんもいる。そういえば、三人で来るって言ってたな。


約一週間ぶりに見る美雨だ。


友達と何やらこそこそと話してる。前の方は人だかりが出来ていて、これ以上前に進むのを諦めたみたいだ。後方に三人並んで、そこでバンドの演奏を楽しむみたいだ。


友達は、携帯を掲げ、舞台を撮影し出した。美雨と幡谷さんが耳元で囁き合いながら、笑い合う。


美雨が笑った時に、頬の下に出来るえくぼの線が、好きだった。


白い歯を見せて、にっこりと微笑む。一週間前はすぐ近くにあったのに。


久しぶりに彼女の笑顔を見た気がし、胸が高鳴った。


好きな彼女の笑顔のはずなのに、少し寂しそうに見えたのは、俺の願望が反映してしまったのかもしれない。


ふいに顔を上げた幡谷さんの視線が、こちらを捉えた気がして、俺は思わず井岡の背に隠れた。


バンド演奏が終わると、会場は拍手に包まれた。舞台上の楽器が運び出されたり、邪魔にならない端に片付けられたりすると、先程の先輩がマイクを持って舞台上に現れた。


「はい、はい。ど~も~」と芸人のようなノリで、「坂下高校の文化祭もいよいよ二日目!いや~、今年もあっという間でしたね___」と舞台を見上げる観客を交えてのトークが始まった。



「向こうに移動するぞ」