フテキな片想い



「ところで、さっきからめっちゃくちゃいい匂いがしてるのは何?」


クンクンと鼻を鳴らしながら星夜が訊ねる。


「あぁ、蛍先輩がオムライスを作ってくれたんだ。星夜の分、ラップ掛けて電子レンジの中に置いてある」


そう言って、棚の上に置かれた電子レンジを指差すと、星夜は中を確認して、くすりと笑った。


今思えば、蛍先輩が料理を作ってた一時間前までは平和だったな。


料理上手な先輩に感心してたし。


「兄さんは、相当、真央を好きみたいだよ。真央の兄さんと同じで、僕の兄さんも意外と器用なんだ。面倒くさがりだから、全くやらないのが基本なんだけどね。兄さんが手作り料理を振る舞うなんて、狙ってる女の子位だもの」


「俺が先輩の好きな美雨の弟だからじゃないのか?」


「美雨ちゃんは関係ないよ。弟の僕がそれは保証するよ」


「今日は料理作らないで済む。真央がいてくれてラッキー」と星夜は、鼻歌混じりで電子レンジのボタンを押した。