フテキな片想い



「言っとくけど、僕は兄さんの秘密を握ってるからね。もし、僕の言う通りに出来ないのであれば、年齢誤魔化してクラブ行ってるのも、年上のお姉さんの家に泊まりに行ってるのも、母さんにリークするからね。証拠がないって、高を括らない方がいいよ。僕の携帯には兄さんが酔っ払って来た日の声が、録音されてるから」


「お前、そんなのいつの間に……」


蛍先輩は口を開けたまま、呆然とした。


星夜はにっこりと微笑む。


「解ったよ。行けばいいんだろ?全く、昔は俺の後にぴったりとくっついて離れないビビリーだったのに、いつの間にこんなかわいげなく育ったんだ?お兄ちゃんは悲しいぞっ!」


せめてもの反抗と、蛍先輩は声を上げた。


星夜は両手を組んだ姿勢で、にこりと微笑んだままだ。


遠野家の実権は弟が握ってると解った。星夜には逆らわない方がいいと思った。


蛍先輩は諦めたのか、踵を返した。後ろに立っていた俺と、暫し目が合う。


「文化祭が終わる頃には、お兄ちゃんと呼んで貰おうか、ただの弟くん。覚悟しとけよ?」


そう耳元で囁き、蛍先輩は「じゃーねぇー」と部屋を出て行った。


最後は陽気な声だった。けれど目はマジだった。