フテキな片想い



弟の不可解な行動に、蛍先輩が立ち上がった。


俺も、蛍先輩越しに部屋を覗き込むと、星夜は大きめなバッグを片手に、先輩の洋服と漁っていた。


「ちょ、何してんの?」


蛍先輩が慌てて、後ろから星夜の肩を掴んだ。


「悪いけど、兄さんは暫く叔父さんの部屋に行っててくれない?」


「はぁ?お前、何言ってんの?」


蛍先輩は声を荒げたが、星夜は動じなかった。手当り次第、着替えをバッグに詰め込んでいる。


バッグがパンパンになると、チャックを閉めて、「はい」と蛍先輩に突き出した。


「叔父さんには僕から連絡しとくから、今は留守かもしれないけど、叔父さんがスペアキーを部屋の前にある植木の下に隠してるの、知ってるよね?」


「俺に出て行けっていうのか?星夜、冷静に考えてみろよ。勝手に転がり込んで来たのは、真央の方だろ?」


確かに、蛍先輩の言ってることは正しい。


けれど、星夜は引かなかった。


「兄さんは今ここにいちゃダメだ。これ、二、三日分の着替えは詰め込んだけど、足りない物があれば連絡して、直接僕が届けるから」


蛍先輩は腑に落ちない顔をしながらも、バッグを受け取った。