フテキな片想い



「ほら、これで殻がなくなった。真央って飄々としてるから、器用に何でもこなすタイプなのかと思ったけれど、意外に不器用なんだね」


ヘラヘラした笑みを浮かべながらそう言われると、ちょっとムッとする。


不器用なのは事実だから反論はしないが。


「俺がキッチンに立つのは超レアなんだけどね、今日は特別に~。真央は俺のサポート役ね。はい、このザルとへら洗っといて」


蛍先輩はそう言って使用済みのキッチン用具を突き出した。


仕方なく受け取り、洗う。まな板の玉ネギを切る蛍先輩を横目で見た。


「くぅぅ、目に沁みるぅ~」と言いつつも、見事な速さでみじん切りになっていく。しかも大きさも均等じゃね?その包丁裁きに圧倒された。


遠野家って、家事の分担はほぼ弟じゃなかったか?何だこの、手慣れた包丁の扱い方は?


「蛍先輩って料理出来るんですね?」


思わず訊ねてみた。


「前にモコミチに憧れて、フードコートのキッチンでバイトしてたからね。洋食の店舗だったから、洋食一通りは出来るよ。やっぱさ、料理出来る男ってモテるワケよ。ま、面倒臭いから普段はやらないけどね」


モテたいから、料理を習得したと?この人、筋金入りのチャラ男だと確信した。


「鶏肉より俺、ベーコンの方が好きだから、今日はこっちにするよ。野菜は冷凍のミックスベジタブルがあるから、それを使う。あ、米炊けたみたいだね?真央、ボールに米よそって来て」