フテキな片想い



携帯を片手にホームページのレシピを漁り、買い物かごに材料らしきものを放り込んだ。


スーパーの袋をぶら下げながら、通りを挟んだ向かい側にあるカフェを覗き込んだ。


美雨がいればと思ったが、お菓子の並んだショーケースの向こうで接客をしているのは、まるまる太った愛想のいいおばさんだった。


今日はシフトに入ってないのか。少し残念な気持ちになってる自分に気付く。


もし美雨がいても、声を掛ける勇気はないくせに。


こんな事をウジウジ考えている自分が嫌で、星夜のアパートへの道のりをダッシュした。




さて、何から始めようか?


食卓の上に買って来た材料を並べ、レシピのページをスクロールしながら、下ごしらえを始める。


まずは米を炊かないと、話にならない。


米はお爺ちゃんが作ってるから、送って貰ってると星夜が言っていた。


遠野家にあるものを使わせて貰う。流しの下の収納スペースに米びつがあった。


米の研ぎ方なら解る。お兄と二人で暮らしていた時の俺の唯一の仕事だった。


炊飯器の電源を確認し、炊飯・スタートボタンを押す。第一関門通過。


次は野菜を切る。玉ネギを切ろうとした所で、まな板の上に置いた玉ネギがつるりと滑り、その反動で手を切ってしまった。