「失格だなんて……それは違います。玲央さんは完璧です。真央は本当に、玲央さんが大好きなんです。たぶん真央は、自立したいんだと思います。玲央さんに守って貰ってた自分の殻を破って大人になるために。私だって、いつかはここを出るかもしれない。将来の夢はまだぼんやりとしか考えられないけれど、もっと広い世界を見てみたいって思ってるし。でも、帰って来る場所があるのはいいなって思います」
「ここです。私の家」コンコンと床を叩きながら、玲央さんを見て、微笑んだ。
「玲央さんが真央を荷物だなんて思ってないのは、玲央さん自身が真央に伝えてあげて下さい。やっぱり兄弟でも、口で伝えなきゃいけないこともあると思います。真央が、もし真央が帰って来た時には、「おかえり」って迎えて下さい。これは私からのお願いです」
ぺこりと頭を下げ、横目で玲央さんを確認すると、玲央さんは難しい顔をして、何かを考えているような表情をしていた。
「さてさて、玲央さんのケーキも食べたし、プラネタリウムの上映を始めますよ!」
わざと大きな声を出して、立ち上がり、床にセットした室内プラネタリウムのスイッチをオンにする。
電気を消すと、天井に満天の星空が映し出された。

