私の今の気持ちを改めて分析する。
こうして二人きりで面と向かって話していても、同じ毛布を二人でシェアしていても、例え偶然に手が触れようとも、ドキドキしない。傷つかない。
大丈夫。もう玲央さんへの想いは吹っ切れた。
今も玲央さんは好きだけど、前の好きとは種類が違う気がする。
「玲央さん、おめでとう」
玲央さんが、こちらを振り向く。
「あの時、みんなの前で報告してくれた時は、キチンと言えなかったから。生まれてくる赤ちゃんは、男の子かな?女の子かな?私、妹が欲しいな。実は、小学生の時は妹が欲しいって思ってたんだ」
おめでとう、良かったね。失恋を経て、私は少し大人になったんだ。今なら、二人に心からおめでとうって言えるんだよ。
「……真央がいたから……」
「美雨ちゃん?」
玲央さんが下を向いた私を顔を覗き込む。
「真央がね、いつも背中を押してくれた。私、いつも言いたい事が言えなくて、ずっと飲み込んでた。体の中に溜め込んでたママへの不満も、寂しい気持ちも、届かない玲央さんへの想いも。真央がね、教えてくれたんだよ。言いたいこと言わないと、相手に伝わないって」

