フテキな片想い



ここの所、この梯子を上っていなかったけれど、玲央さんは日常的に掃除はしていたみたいだ。


屋根裏部屋は、塵一つなく、片付けられていた。


夜はだいぶ冷え込むようになって来たので、ヒーターを付け、玲央さんと一緒に包まろうと、電気毛布を引っ張り出した。


天窓を見上げると、空に灰色の雲が広がっていた。今日は星は見えない。


芽衣子の漫画を読みながら、玲央さんが来るのを待っていると、「美雨ちゃん、手伝ってくれる?」と下で声がした。玲央さんから、ケーキとお茶の乗ったお盆を受け取り、二人で、床に腰を下ろした。


「今日は紅茶じゃないんですね?」


「ほうじ茶だよ」


玲央さんは湯呑みに、ポットからお茶を注いだ。茶葉の濃い香りが広がった。


「今日のティラミスはコーヒーの代わりにほうじ茶を使ってみたんだ。スポンジケーキの所はカステラで、和テイストで作ってみたんだよ」


玲央さんは本日のケーキの説明をすると、「はい」とケーキ皿を差し出した。


「おいしー」ティラミスを口いっぱいに頬張りながら、感激すると、玲央さんが肩を震わせて笑い出した。