フテキな片想い



「グッとくる?」


「だって、それって美雨が大好きって事じゃん!告白したら、溝が出来るかもって解ってても、想いを告げずにはいられなかったんでしょう?あぁ、切ない。切な過ぎるよ、児玉くん。美雨は、もっと気持ちを恋するモードに持っていかないとダメだよ。花の命は短いって言うでしょ?恋愛漫画をもっと読みなよ。女子高生なんだから、恋しないと!」


芽衣子はすくっと立ち上がると、壁際の本棚の前に立ち、漫画を物色した。


何冊か本棚から抜くとと片手に抱えた本を、ローテーブルの上に置き、「とりあえず、これ今度のお泊まり会の時までのノルマね」とパンと一番上の漫画を軽く叩いた。


ノルマ……


テーブルに重なった漫画と、芽衣子を順繰りに見ると、にかっと彼女は笑った。




「美雨ちゃん、ちょっといいかな?」


コンコンと扉を叩く音と、玲央さんの声がした。


「開いてるから、どうぞ」


ベッドに寝転がりながら、芽衣子から借りた漫画を読んでいた。


漫画本を伏せて、起き上がると、姿勢を正して、ベッドの端に座り直した。


「入るね」と玲央さんは、断わりを入れてから、ドアノブを回した。