「オーナーさんがおまけしてくれたんで、気にしないで下さい」
「ね、デザートは私の部屋で食べよ!ママ、お茶淹れたら、ケーキと一緒に持って来てよ」
芽衣子に急かされ、私は食卓を立つ。「はいはい」と芽衣子のお母さんは、キッチンに向かった。リビングのソファでくつろいで、テレビを見ている芽衣子のお父さんに挨拶をし、リビングを後にする。
芽衣子の家は、駅から徒歩五分圏内にあるマンションの最上階だった。
玄関から入ってすぐ、左手の六畳位の洋間が、芽衣子に与えられた部屋だった。
カワイイものが好きな芽衣子の部屋は、たくさんのカワイイもので溢れている。カーテンやベッドカバーは芽衣子の好きな水色で、枕元や足元、棚の上などに芽衣子の好きなキャラクターのぬいぐるみが置いてある。
出窓に写真立てが並び、家族写真や小さい頃の芽衣子の写真、中学時代の写真と一緒に、私と撮った写真も飾ってあるのが、嬉しかった。
「美雨の部屋に天窓があるのが羨ましくて」と、天井には暗闇でぼんやりと光る星のシールが散りばめられていた。
ローテーブルの上に、お土産のケーキと、紅茶が置かれ、芽衣子のママが部屋の扉を閉じた瞬間に、芽衣子がにやっと笑って、私の顔を覗き込んで来た。
「で?最近、美雨が元気ないのは、何があったワケ?」
芽衣子のイタズラな視線に、観念したように溜息を吐く。
「……真央に好きだって言われた。女として好きだから、家族って思えないって」

