フテキな片想い



ハロウィーンという事で、遠藤さんは三角帽に真っ黒なローブを着た魔女に変身していた。


「美雨ちゃんにも衣装、用意してみたの!絶対、かわいいわよ~」と出勤して来た私に、遠藤さんはキラキラした眼差しを向けていた。


なので、私も一応、仮装をしてみた。


遠藤さんの選んでくれた衣装はピンクのウサギちゃん。


キグルミではなく、耳の付いた被り物とフワフワしたワンピースの、子供向け番組のお姉さんが着てるみたいなやつだ。かわいいけれど、ちょっと恥ずかしい。


「やっぱり、美雨ちゃんに似合うわ~。動物がコンセプトのカフェだから、店員が仮装するのも動物にしてみたの。松岡さんは、アルパカちゃんにしてみたの。結構ノリノリで着てくれたわよ。私は動物たちを牛耳る魔女って所かしら?」


イーヒッヒッヒッと遠藤さんは怪しい笑い声を上げながら、湯煎して溶かしたチョコレートのボウルを掻きまぜている。


何かの秘薬を作る魔女にでもなっているつもりなのだろうか?


仮装をすると人はテンションが上がるんだなぁと、魔女になった遠藤さんを見て思った。


「美雨ちゃん、お疲れ様。もう上がっていいわよ。今日は忙しかったわね。働いたって気がするわ」


お店の看板を店内に下げると、調理台の上にスプレーを噴射して、アルコール除菌していた遠藤さんに声を掛けられた。


今日は遠藤さんの計らいで、仮装してお店に来てくれた子供限定で、パンプキンシードの入ったクッキーをプレゼントした。