フテキな片想い



パンっ!


ママが立ち上がり、真央の頬を打った。


いつかのデジャブのように、前に私もママに叩かれたことを思い出し、思わず自分の右頬に手を添える。


叩かれることを予想してなかっただろう真央は、驚いた表情でママを見、睨みを利かせた。


「今のは言い過ぎよ。真央くん、玲央に謝りなさい」


真央は何も言わなかった。


「謝りなさい!」


ママが声を荒げた。


自分が怒られているような気分になり、胃の奥をギュッと掴まれたような気がした。


真央は口を噤み、ママを睨み付けたまま、席を立った。


そのままリビングを離れると、玄関の扉が乱暴に閉まる音がした。


あっという間の出来事だった。


何が起こったの?と頭が混乱していた。


誰も言葉を発しない。


ママは立ち上がったままの姿勢で荒い呼吸を繰り返していたし、玲央さんは真央が急にキレたのに驚いたみたいで、呆然としてしまっている。