「あぁ、本当は十二時ぴったりに一番で祝いたかったな。残念」
いや、そこまでしてくれなくていいです。彼氏じゃないんだから。でも___
「お花貰うの初めてなんで、嬉しいです。ありがとうございます。いい香りがしますね。キレイ」
「あ、うん。良かった。喜んで貰えて。一応、歳の数にしてみたんだよ。美雨ちゃん、あのさ___」
蛍さんが、顔を上げた瞬間、「美雨!」と名前を呼ぶ声が聞こえた。
声の方を振り返ると、公園の入り口に真央が立っていた。
「真央。今帰り?」
「あぁ。蛍先輩も一緒だったんだ?」
真央はいつもの冷めた視線で、私の隣にいる蛍さんをちらりと見るとそう告げた。
「そういえば蛍さん、さっき何か言い掛けましたよね?」
「いや、何でもない。また今度にするよ。俺、今日は帰るね。じゃあ、いい誕生日を~」
蛍さんはポンと私の肩を軽く叩き、真央に挨拶をすると、足早に去って行った。
「何、ぼぅと突っ立ってんだよ。帰るぞ」
真央がぶっきらぼうに言って来る。
「うん」と頷き、公園の入り口に向かう。

