フテキな片想い



誕生日を覚えてくれている友達がいてメールをくれたり、芽衣子みたいにケーキまで用意してくれたり、それだけでも十分だと思わないとね。


久しぶりにちょっと寄ってみようかな?


目先に現れたタコ型のすべり台のある小さな公園。


この街に引っ越して来たばかりの時は、一人になりたくて、よくここに来てたっけ。


あのすべり台のトンネルで蹲ってたら、真央が迎えに来てくれたな。


あの時は、急にお腹が痛くなって倒れちゃって、真央が介抱してくれたんだ。


ちょっと前のことなのに、懐かしい。


まだ夕方の早い時間のせいか、公園には小学生くらいの子供たちが遊んでいた。


タコのすべり台を滑っている男の子を眺めながら、思い出していた。


いきなりブレーザーのポケットに入れた携帯が振動したと思ったら、蛍さんからの電話だった。


電話が掛かってくるのは、珍しい。何か急用?と通話ボタンを押す。


「美雨ちゃん、今どこ?」


息を切らした蛍さんの声が電話越しに聞こえてきた。


「え?公園にいますけど……」