嬉しい。けれど、すごい恥ずかしい。
元々、注目されるのって苦手なのに……
「びっくりした?保健室の先生に頼んで、内緒で冷蔵庫貸して貰ってたんだぁ」
えへへと笑いながら、芽衣子と向かい合って座った。ケーキは食後のデザートにと、まずはそれぞれのお弁当から食べ始める。
向かい合わせた机の真ん中に置かれたケーキを眺める。真っ白な生クリームの上に苺がびっしりと乗ったシンプルなショートケーキ。
手前には「Happy birthday MIU」とチョコレートのプレートが乗っている。
やっぱり嬉しい。
一番好きなケーキは苺のショートケーキ。私の好みを解ってくれている親友に、瞼がじわりと熱くなる。
「ありがとう。めちゃくちゃ嬉しい。食べちゃう前にちゃんと写真に残して置かなきゃ」と、パシパシと写メった。
芽衣子はそんな私の様子を、満足そうな笑みを浮かべて見ていた。
「家の近所に隠れ家的なケーキ屋さんがあってね、セレブご用達みたいなオシャレな外観のケーキ屋さん。Un joli amant(アン ジョリ アマント)、フランス語でカワイイ恋人っていう意味らしいんだけどね。そこのパティシエが超、イケメンなのっ!パリで修行して、コンクールで受賞した凄い人らしいのっ!」

