「私、中学の時とかは、結構友達同士のキューピットみたいな事してたの。お互い好き合ってる二人の背中を押すのは、楽しかったし、私もいい事したなって幸福感を得られて、楽しかったな。つばさんが真央を好きなら応援したいのは正直な気持ちだけど、真央はきっと性格的に私が間に入って、つばさんとの仲を取り持とうとするの嫌がりそうな気がする。好きなら、スパッと気持ちを伝えた方が、真央にはいいと思う。きっと真央は真剣に受け答えしてくれると思うよ」




「結果、美雨のアドバイス通りに告白して、振られてるんだけど。あぁ、私、こんな風に真剣に私と児玉の事考えくれる子を利用しようとしてたんだって、その時すごく反省したんだよね。私が何を言いたいのかって言ったら、児玉が美雨を想ってるように、美雨も児玉のこと、キチンと解ってて、考えてるんだなって事だよ」


「俺はこれからどうしたらいいと思いますか?」


「それを、今、振った女に訊くか?」


「……すみません」


幡谷さんは、しょうがないなという表情をすると頬杖を付き、窓の外を見た。


日曜日だから、駅に向かって行き交う人々は多い。


家族連れ、カップル、友達同士。


駅ビルへと続くロータリーの建物の間から、真っ青な空が見えた。


秋の空は高く澄んでいる。