「ごめん、ちょっと意地悪かった」


幡谷さんはふぅと息を吐き、ゆっくりとソファの背もたれに寄り掛かった。


「児玉のことが気になって、児玉ばかり見てたら、児玉の視線の先に美雨がいるのに気付いて、ヤキモチ妬いてたんだ。美雨は本当にいい子だよね。私が男だったら、好きになると思う」


「私ね、ズルイんだ」組んだ両手に視線を落として、幡谷さんは続けた。


「児玉が好きだから、児玉と上手く行くように、美雨が協力してくれない?って頼んだ」


美雨が、児玉を弟みたいな存在だって言うから、一番近くにいる美雨が児玉の魅力に気付いたら、もう絶対敵わないって思って、だったら自分の気持ちを伝えておけば、人がいい美雨はそうなんだって納得してくれる。


もしかしたら、美雨が間に入ることで、児玉との関係も上手くいくかもって淡い期待もあった。


「でもね、そん時、美雨、私に言ったんだよね」