高校に入学して、家から一番近いからと、時折立ち寄るコンビニのレジに、何か見たことある奴がいるなと思っていたら、「児玉(こだま)くんだよね?同じクラスの」と向こうから声を掛けられた。


「高校生ってコンビニでバイト出来るんだっけ?」と訊くと、「僕は特別なんだ」とアイドルグループのような爽やかな笑みで言い返された。


星夜は高校生なのに、年子の兄と二人きりで暮らしているらしい。


訊けば離島の出身で、星夜の住む島には中学校までしかないのだという。


中学校を卒業すると、ほとんどの生徒が、父島と呼ばれるその周辺で一番大きな島に、通学するのだが、星夜の場合、叔父さん(星夜のお父さんの弟)が、この町に住んでいるという事で、この近辺の高校を受験したのだそうだ。


運良く、一足先に島を出た兄と同じ高校に進学することが出来た。


兄弟は叔父さんが所有するアパートに、住まわせて貰っているらしい。


また星夜の叔父さんはコンビニ数店舗のオーナーでもあるらしく、ほぼ無料で住まわせて貰っているお礼に、コンビニの仕事を手伝うと、叔父さんに訊ねてみた所、特別枠で採用して貰ったらしい。


「両親からの仕送りもあるし、タダ働きでもいいと思ったんだけどね。叔父さん、きちんと給料くれるんだよ。働いてるんだからって。ちょっとした小遣い稼ぎになってるし、ありがたいよ」