「私、児玉のことが好き」
今度はじっと目を見て、はっきりとした口調でそう告げた。
「児玉のことが好きだよ。いつからとか解んない。気付いたら、あぁ、好きなんだって思ってたの」
俺の事が好き?
好き。
「あぁ、本当はこんな風に言うつもりじゃなかったんだけど、何か口が滑っちゃった。びっくりしたよね?」
幡谷さんは、明るく笑い飛ばした後で、急に真面目な表情になった。
「私じゃダメかな……私を児玉のカノジョにしてくれない?」
正直な所、今まで「付き合ってほしい」と女子に告られたことが無い訳じゃない。
小学校の同じクラスの女の子に、同じ養護施設いた子。
小学校の時の俺は、「好き」とか「嫌い」とか異性を特別な感情で見ることが出来なかった。
自分が親に捨てられて赤ん坊の時から、施設で育てられたから、「愛」という不確かなものを必死で、拒絶してたのかもしれない。
お兄以外の誰かを好きになることはないと思ってた。
もちろん、施設の大人は優しかったし、園長先生も好きなのだけれど、お兄に対する好きとはまた違う気がする。

