フテキな片想い



うちの家庭事情を聞いた時に、幡谷さんはそう思ったらしい。


「児玉があまり過去を話すのが好きじゃないって美雨が言ってたから、美雨を責めないでね。私が、知りたくて根掘り葉掘り訊いたんだから」


「別に、隠してたワケじゃないです。ただ、説明が面倒臭いっていうか、お兄については歳の差カップルだし、ちょっとみんなに言うの抵抗あって___」


「あ、それ、美雨も言ってた」


アハハと声を上げながら、幡谷さんはコーヒーを啜った。


幡谷さんより八つ年上の二番目のお姉さんは、看護師としてこの街で働いているという。


幡谷さんは、高校を県外の坂の上女子高を選び、今は実家を出て、看護師のお姉さんと一緒に暮らしてるのだという。家族関係はすこぶる良好らしい。


「本当は、ずっと男っぽい自分を変えたくて、だったら自分の知り合いが一人もいない街で、女子高生ライフを楽しみたかったんだよね。みんなと同じように、メイクしたりオシャレしたり。だからわざと県外の学校選んで、お姉ちゃんを頼りにして、大幅なイメチェンしようと思ったけど、大失敗。結局、根本的なものは変わらないんだよね」


「別に、周りを気にしなくてもいいんじゃないかって、俺は思いますけど」


「え?」と幡谷さんはきょとんとした顔をして、俺を見上げた。