フテキな片想い



「でも、思い切って相談してみて良かった。児玉に嘘でも「似合う」って言って貰えて、ちょっと勇気出た。ありがとう、嬉しかった」


そう言って幡谷さんは、こちらを振り返ると、恥ずかしそうにニコリと笑った。


彼女のそんな笑顔を見るのは初めてで、思わずどきりとしてしまった。


恰好のせいもあるのか微笑む幡谷さんは、どう見ても「女子」で、「嘘は言ってません。似合ってると思います」って言ってあげた方が、きっと彼女は喜んでくれるのかもしれないけれど、キザでカッコつけてるみたいな気がして、口を噤んだ。




美雨が欲しがってたという、ショルダーバッグを購入すると、付き合って貰ったお礼に幡谷さんにお茶でもご馳走しようと、駅ビルの近くにあるファミリーレストランに向かった。


「何かフシギ。バイトの控え室以外で、児玉と向かってあって座ってるなんて」


幡谷さんは、機嫌がいいのか終始笑顔で、楽しそうにメニュー表を捲った。


確かに、二人で出掛けるのも、幡谷さんと控え室以外で二人きりで話すのも、始めてだ。


知り合って半年以上経つけれど、いざ一緒に出掛けてみると、言葉の糸口が上手く掴めない。


元々、人と話すのがあまり得意じゃない。


美雨と一緒だと気が楽なのは、美雨がおしゃべり好きで、放っておいてもベラベラと次から次へと話題が尽きないからだ。