とりあえずホッとし、駅へ向かう。
少し前を歩く幡谷さんの後姿を眺めながら、美雨もこんな風な服をよく着てるなとぼんやり思った。
「実は、この間出掛けた時に、美雨にコーディネートして貰ったんだ」
そう思ってた時に、こちらの気持ちを見透かしたように、幡谷さんがぼそりと呟いた。
あぁ、だから美雨を思い出したんだなと妙に納得がいった。
「光浦とかさ、「お前は男女だ」とか「生まれてくる性別間違ってる」とか口癖のように行って来るじゃん?そんなの自分が一番解ってるし、気にしてないフリをしてても、やっぱ、心の奥の方で、「私は女なのに」ってちょっとだけ認められたい自分がいるんだよね。で、美雨に相談してみたんだ。女らしい恰好してみたいって」
姉御、心の中では男っぽいこと気にしてたのか……けれど光浦さんの場合は、好きな女子に振り向いて欲しくて、ワザと相手の傷つくことを言ってしまう小学生男子的なアレだと思うけど。
光浦さんの密かな思いは、全く、幡谷さんには届いていないらしい。
幡谷さんからしたら、毎回しつこく絡んでくる光浦、ウザイって所だろうか?
ガンバレ、大学生。
今度は大人の魅力で、推してみたら?と生意気にも心の中でアドバイスをしてしまう。

