フテキな片想い



お兄特製、薄切り豚肉の間にチーズと大葉を挟んだミルフィーユカツに舌鼓を打ちながら、訊き返す。


サクサクした衣がうまい。粒マスタードを付けると更にうまい。


「ちょっと、真央、忘れてる?二十八日は、美雨ちゃんの誕生日でしょう」


「あ」


忘れてた。


そういえば、あいつの口癖は俺より誕生日が五ヵ月早いから、私の方がお姉さんだった。


自分の誕生月である三月から五ヵ月マイナスしたなら、美雨の誕生日は十月になる。


不覚、お兄は覚えてたのに。


「晴美さんとも話してたんだけど、美雨ちゃん、最後にお誕生日会を開いたのって、小学生の時らしいんだ。晴美さんも、美雨ちゃんが四年生の時から、シングルマザーで働きっぱなしだっただろ?誕生日まで気が回らなかったらしくて、美雨ちゃんも美雨ちゃんで、「ママ、仕事忙しいんでしょ?いいよ、無理矢理時間作ってくれなくても、もう、子供じゃないし」なんて大人びたこと言ってたらしいし」


美雨らしい言い訳だと、思わず笑いそうになる。


虚勢張って、本当は、誕生日を祝って貰いたかったに違いない。


それを真に受けて、仕事を続ける晴美さんも晴美さんだけど。


シングルマザーで、大変だったんだ。


彼女も彼女で、日々の生活を過ごすのに一杯一杯だったんだろう。