フテキな片想い



「あれれ?美雨ちゃん、弟を知ってるの?」


「え、だって、この間、うちに泊まりに来たし……」


「泊まり?俺を差し置いて?俺だって、まだ美雨ちゃんち知らないのに?」


「だって、星夜くんは真央の友達だし、泊まったって言っても、真央の部屋だし」


「すごい、何たる偶然」と美雨は素直に感心してた。


「さ、じゃあ、こんな所で立ち話もなんだし、帰ろうか」と、蛍先輩が、自然な流れで、うちの方向に歩き出した。


おいおい、ちょっと、待て。先輩の家は逆方向だろ!お前もうちに来る気かと、頭の中で大いに突っ込む。


「先輩、今日は俺が責任を持って、美雨と帰るんで、カワイイ弟の待つ家に帰って下さい。あいつ、健気に晩御飯作って、帰りを待ってますよ」


「えー、今日こそ、美雨ちゃんちがどこか確かめようと思ったのに~。久しぶりにカフェにも来れたのに~」


残念を露にして、先輩は口を尖らせた。


素直というか、チャライというか、こんな風に思ったことをすぐさま口に出来る性格が少しだけ羨ましい。


「蛍さん、私、真央と帰るから、送ってくれなくても大丈夫ですよ。ていうか、いつも断わってるじゃないですか。早く星夜くんの所に帰ってあげて下さい。二人暮らしなのに、一人でお兄さんの帰りを待っている星夜くんが可哀想」


さぁ、帰った、帰ったと美雨は、強引に蛍さんの背中を押した。