「あれ?真央?どうしてここにいるの?」
いつもの惚けた口調で、美雨は振り返った。
「いや、友達のとこ行ってて。美雨は今、バイト上がり?」
つかつかと近づき、何気なく美雨の後ろにいる男に視線を移した所で、「あ」と思わず声が出た。
声が出たと思ったのは、勘違いだったみたいだ。
実際に、声を上げたのは、相手の男の方だった。俺と同じように、口をぽかんと開けて、俺を指差して驚いている。
「蛍先輩?」
「真央?」
同時に発する。
「え?二人とも、知り合いなの?」
間に立った美雨が、前後を振り返る。
「星夜の兄さんが、何で美雨のバイト先に?」
「いや、俺、ここの常連なのよ。今日は、閉店までいたから、ついでに美雨ちゃんを送って帰ろうかなって思ってて。ほら、夜道を女の子一人って心配でしょ?」
それは、お気遣いどうもと全く感情の籠っていない声が出た。
「え?星夜くんって、蛍さんの弟なの?」

