「え?この人って美雨のカレシなの?」
つばさんの目が大きく見開き、私を覗き込む。
いや、それは、全くの誤解___否定しようとした所で、
「美雨ちゃん、俺んちの近くのカフェでバイトしてんのよ。健気に働く彼女の姿にフォーリンラブしちゃった訳ですよっ!俺も彼女に逢いたくて、足しげくカフェに通ってるんだよ。ね、美雨ちゃん」
ねって言われても……賛同できるかっ!
「つばさん、あの、確かに蛍さんはカフェのお客さんなんですけど____」
と言い掛けた所で、「ちょっと、遠野くんっ!」と後方から慌てた声がした。
蛍さんと同じように、風船の束を手にしたライオンの着ぐるみが、こちらに向かって駆けて来た。
「困るよ。休憩時間じゃないんだから、勝手に頭取っちゃ。早く、頭を付けて、仕事に戻って。向こうの方、回って来て!」
愛らしい表情のライオンから発せられているとは思えない程、野太い声がライオンさんから聞こえて来た。
「あ、すみません。知り合いがいたので、つい。真面目に働きまーす」
蛍さんは人懐っこい笑みを浮かべたまま、平謝りをすると、パンダの頭を再び被った。

