フテキな片想い



子供たちの声援を受けて、ナントカ仮面は1人で、敵の集団に向かって行く。


「ヒーローショーって初めてキチンと見たけど、結構アクロバティックなんだね。敵、どんどん投げ飛ばされていくし」


「そうだね。意外と楽しいね」


二人でベンチに並んで、飲み物を片手に、ヒーローの行く末を見守っている。


ポンッと不意に後ろから肩を叩かれ、びくんと体が反応しつつも、振り返った。


着ぐるみのパンダが立っていた。左手には風船の束を持っている。……私にくれるっていうのかな?


高校生の私にくれるなら、子供たちにあげて欲しいけど。


もしかして、私が童顔で、子供に見えるとか?あぁ、そうだったら、何気に傷つくなぁ。


そんな事を思いながら、私は、パンダに微笑み掛けて、「いらないよ」とジェスチャーでアピールした。


電車で帰るから、持ち帰るの少し恥ずかしいし。


けれども、パンダは私の前から去ろうとしない。


「あの、私、風船は結構なので、あっちにいる子供たちに……」


テントの奥を指差した所で、


「美雨ちゃん、俺だよ、俺」とパンダの中から、くぐもった声がした。