―その夜

 『痛っ…。』

とうとう陣痛が来たみたい。

二回目だからか比較的
落ち着いてはいる。

もう少し間隔が狭くなったら
ナースコールをおそうと思い、今は
頑張って一人で痛みに耐える。

そうしてどれくらいたった頃か、
藤先生が入ってきた。

藤「咲さん~。って咲さん陣痛
  来たんでしたらどうして
  ナースコールを押してくれなかった
  んですか?」

 『まだ大丈夫だと痛っ
  思ったんですハァハァ。』

藤「とりあえず葵先生に連絡
  してきますね。」

もう痛みに耐えるのに必死で
肯定も否定もできない。

藤先生が連絡して急いで来たのか、
髪の毛が乱れている。

日向葵と葵結もつれてきてくれた
みたいで、二人もしっかりいる。

葵「今から二人の弟が生まれるんだから
  しっかり見ていろよ?」

 「「うん!」」

 『ハァハァい゛っだぁい゛。』

葵は必死に私の腰をさすってくれるけど
全然よくならない。

 『葵もっどぉ、だり゛な゛い゛。』

テニスボールを使って腰をさすって
くれる。

 『まだぁ?いったいんですけどぉ。』

藤「まだしきゅうこうが5センチしか
  開いてないの。頑張って。」

 『もう無理ぃぃぃぃぃ。』

葵「咲頑張れ!」

 『いったぁいもう嫌!』

日向葵と葵結の顔を見る
暇もない。