夜になり、利巌の屋敷では十兵衛のいる部屋に、利巌と連也を除くみんなが集まっていた。

伊助と新山が、みんなに話していたこれまでの成り行きを、ここでもう一度話す。

それは、神隠しのカラクリそのものだ。

虎之助が喜八郎に視線を移した。


「喜八郎、比草屋の場所は分かったか?」

「へい」


喜八郎がみんなにその場所を伝えると、虎之助は寝転んでいる十兵衛の方へ身体を向ける。


「十兵衛様、いかが致しましょう」


尾張にも、悪党どもを取り締まる機関がないわけではない。

虎之助たちが無理に関わらずとも、そういうところに通報すれば、それで事足りるように思われる。

しかし、悪党どもに林の中を逃げられ、女子たちを人質にとられたうえに殺害されることもあり得る。


十兵衛は言った。


「わしらが、やろう」


十兵衛は身体を起こし、あぐらを組んだ。