腕を組み、虎之助の話に耳をかたむけていた利巌は、目を閉じる。

もう、本当に、ため息しか出ない。

要するに、利巌の方で虎之助たちの面倒をみてくれと、こういう事なのだ。

だが、思えば虎之助たちも可哀想である。

暗殺集団に仕立てられ、必要なくなれば尾張へ飛ばされ、ここで利巌が「江戸へ帰れ」と言えば、彼らはどうなるのであろうか。


しばらくすると、連也と藤吉が帰ってくる。

連也が虎之助たちの前に姿をあらわし、虎之助たちは頭を下げる。

(若い…)

と、みんなは思った。

連也が利巌の横に座る。


「話は聞きました、父上」

「そうか」

「それで、どうなされますか」

「……」


利巌が、なにも言わずに考えあぐねていると、一人の客人が屋敷を訪れる。

なんともいえないタイミングだった。


この客人の訪問が、虎之助たちに久しぶりに仕事をさせることになる。