しかし、相手の技量が、自分のそれを上回る場合がある。

藤吉たちは、殺人刀の使い手とはなっても「柳生新陰流」を極めたわけではない。

ゆえに、返り討ちにあい、命を失う仲間も少なからずいたのは悲しい事実だ。

人数が減ってくると、池永など宗矩の家臣が、新たに子どもを誘拐まがいに連れてくる。

そして今、虎之助を頭(かしら)として、十人足らずが生き残っている。

彼らの剣は、宗矩の声がかかった時にその真価を発揮する、相討ち覚悟の剣である。


ここまでの話を、連也は呆然となって聞いていた。


「すると、おぬしたちは…」

「あっしらは柳生の陰に隠れて、宗矩様の命令で動く、柳生を名のれぬ柳生」


藤吉たちの正体が、今、はっきりと明かされる。


「裏柳生にござります」