「空、かわいかったよ」

空は、自分の声を恥ずかしく思ったのか、うつむいて俺の腰に腕を回す。


「…声、でちゃうんだもん」


俺がからかっていると思ったのか、そう言いながらギュッと腕に力をいれた。


本心なんだけどな。


と思いつつも、言葉にはせずに空をギュッと抱き締めた。


空に手を出してしまいたい気持ちもある。


でも、きっと空なら怯えるだろうと思うとそれがどうしてもできない。


その代わりにというわけではないけれど、その日俺はずっと空の隣にいた。