「佐野さん、これ塩谷さんのだと思うんですけど明日渡してもらえますか?」


そう言ってスタッフに渡されたのは、小さめのピアスだった。


なんで俺が…そう思ったけれど正直に言うわけにもいかず受けとる。


なにも考えずポケットに入れ、そしてそれを俺は忘れてしまっていたのだ。


「おつかれさまでした」

「おつかれさまでしたー」


そして俺は、このピアスが幸せを壊していくなんて知りもしなかった。