言の葉~「死ね」と言ったら殺人ですか?~



 廉が後ろを向くと、確かに子犬のような瞳で廉を見つめる男子が一人。


 子犬って言っても、ずいぶんずんぐりとしたあんまり可愛くない子犬だけど。


「おはよ、公介」


「おう、廉」


 廉と公介は高校にはいってすぐ付き合いだしたから、もう半年以上になっている。


 高校生で、それも廉と公介のような派手な二人で、この記録はかなり長いと思う。


「廉ー、今日も可愛いなぁ」


 公介が廉のことを溺愛しているのだ。


 クラスの男子のボスである公介と一緒にいるのは、廉にとってもなにかと都合がよかったし、


「あー、はいはい。ありがとー」


 こんな塩対応だけれど、今のところ別れる予定はない。