”お前こそ死ねよ死ねよ死ねよ……”


 狭い部屋の小さな布団の中で、廉は目を覚ました。


 嫌な夢を見た。


 リアルな声で迫ってくる”死ね”という言葉。


 枕元の置き時計を見ると、午前五時二十八分。


 しばらくして、時計がリンリンと鳴りだした。


 それを止めて、ベッドからはい出る。


 小学生のころから変わらない、いつもの習慣だった。

 
 隣ですやすやと寝ているのは、廉の可愛くない弟三人。


 彼らは、廉が起きたずっとあとにのそのそとはい出てくる。


 父親と母親は、廉が起きるずっとまえに仕事のため家を出ていた。