「今野……真人くん」
それを聞いた伊織が、「ええっ!」と大声を出して、春穂に人差し指を口の前に立てられている。
「え~」
いつもリップでぷるぷるの唇をとがらせた夕菜が、
「今野真人って、あのデブの黒沢といつも一緒にいるやつでしょ? 存在感なくて、生きてるのか死んでるのかわからないやつ」
春穂が”死んでる”という単語にピクリと反応したが、夕菜はそれには気づかなかったようだ。
「なんであんなやつなのよ。もっといいやついっぱいいるって」
よくわからない、と肩をすくめる夕菜に、伊織も「そうそう」とうなずいてみせる。
「そうだよ。春穂可愛いんだから、もっとイケメン捕まえられるって」
「でも、今野真人って、顔はそこそこいいんじゃない?」
廉がそう言うと、伊織はチッチッと舌を鳴らした。
「待ってな~、春穂。もっといいイケメン見繕ってあげるから」
伊織がかばんから携帯を取り出す。
伊織は四人の中で一番男友達が多い。
きっと彼女の言う”イケメン”にも心辺りがあるのだろう。


