言の葉~「死ね」と言ったら殺人ですか?~



 小林がドアを開けて、北校舎と南校舎をつなぐ渡り廊下に出た。


 熊谷高校の渡り廊下は外にあるので、冬の今は風が吹きつけて、寒い。


 前を歩くよれよれのシャツに向かって廉は問いかけた。


「もし、もしですよ。もしクラスの誰かが山本さんに”死ね”と言っていたとしたら、先生はその子を殺すんですか?」


 なぜそんなことを聞いたのか、自分でもよくわからない。


 殺さない、と言ってほしかったのか。


「うん」


 そうですか、と答えようとして、声がのどの奥で干からびていた。