小林が教室を出て行った直後、一時間目を担当する先生が入ってきて三十分ほど妙な精神論を語ったことで、山本咲良の自殺が小林の狂言ではないことがわかった。

 
 小林の泣き顔を思い出す。


 ……これは現実?


 クラスメートが自殺しただけで十分驚き。

 
 でもそのうえ、担任が妙な考え方の持ち主でかたきをとると言い出すなんて、驚きすぎてものも言えない。


 だが頬をつねってみても、誰もが背筋を伸ばしていつになく緊張した教室の空気は、そのままだ。


 小林が”命”そして”死ね”という言葉について考えさせたくてした芝居____


 そう思いたいけれど、そう思わせてくれない何かがある。