「”死ね”という言葉は命令形だから。それは殺すってことと変わりないんじゃないかな」


「でも、”死ね”って言われたら死ぬんですか? そんなことで死ぬほうがどうかしてるんじゃ……」


 廉は、この教室に小林と自分の二人しか存在しないかのような錯覚を覚えた。


 クラスのリーダー。


 学級委員なんてものじゃなく、このクラスを牛耳る存在。


 廉にはその自覚があった。


 だからこそ、あたしがここで引くわけにはいかない。


「それは”死ね”なんて言われたことのない勝者の言い分だよ。ほんとに言われてみないと、その言葉の重さはわからない」


 廉が精一杯反論した言葉も、悲しそうな小林に簡単に返されてしまった。


「なんならここで言われてみる?」


 なんて


「いいです」


 廉は固い表情で答えた。