「ねぇ」
次に手を挙げたのは、夕菜だ。
下川さんとは違って、手は完全に曲がって、顎の辺りまでしか挙がっていなかったけど。
普段こう言ったホームルームなどには我関せずといった感じで全く興味がなく先生の話も一切聞いていない夕菜だが、やはり今回ばかりは気になるらしい。
「遺書とかは?」
語尾が省略されるのは、夕菜独特の話し方だ。
廉達はもう慣れているが、小林は戸惑ったらしく、答えるまでに少し時間があった。
「……遺書はあったよ。今ここにあるけど……見る?」
見る?と聞かれるとは思っていなかったのか、どうすべきか迷った夕菜はこちらに視線を向けてきた。
廉がうなずいてみせると、ようやく小林に向かって手を差し出す。
「これはコピーだから、そんなに緊張してもらわなくていいよ。本物は警察にあるから……」
三つ折りにされた紙が一枚、夕菜に渡された。


