言の葉~「死ね」と言ったら殺人ですか?~



「はい」


 行儀よく手を挙げたのは、クラス学級委員下川さんだ。


「下川さん、どうかした?」


「山本さんは、自殺だったんですか?」


 直球の質問に、何人かが目を泳がせたのがわかった。


「どうしてそう思う?」


「え……それは……」


「不登校だったから?」


「……そうです」


「不登校の生徒が死んだからと言って自殺とは限らないけど……」


 小林は困ったように笑って、


「……うん、正直に言うよ。山本さんは自殺だった。自分の部屋で首を吊ってね」


 クラス中がうぅ、と見るからに嫌そうな顔をする。


「わかりました」


 静かにそう言って、下川さんは席に着いた。