言の葉~「死ね」と言ったら殺人ですか?~



 廉達が席に着いてしばらく、ガラガラガラ……と今度はやけに静かにドアが動いた。


 入って来たのはこのクラスの担任、小林聡だ。


 小林は、まだ二十代の新米先生で、クラスのみんなからも「小林」と慕われ?ている。


 いつもおどおどしている小林だけど、今日はいつもよりもっとおどおどしている。


 アイロンのかかっていないよれよれのシャツ。


 気のせいか、顔色まで悪く見える。


 廉は座ったまま後ろを向いた。


 後ろには、春穂が座っている。


「ねぇ、今日の小林、なんかおかしくない?」


「うん……ちょっとね。疲れてるみたい」