6月




「蓮ーっ」



休み時間、教室の机に突っ伏して睡眠をとっていると、安眠を妨げるように俺の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。



顔を上げなくてもわかる。



この声は……



「……シノ」



名前を呼ばれて無視するわけにもいかず、しぶしぶ顔を上げると、そこにはやはりシノが立っていた。



シノ ─── 篠坂 依澄(しのざか いずみ)は、俺の幼なじみであり、親友。



軽くパーマのかけられたふわっとした髪に、ダボッと履いた制服のズボン。



そして、笑うとできるえくぼ。



いつもニコニコ屈託無く笑ってる、そんなやつ。



俺が未来からやってきたことを知っているのは、花とこのシノだけ。