だけど、だからこそ。
〝怖い〟
喉のもとまで出てきた言葉が、口から出るのを拒んだ。
蓮に迷惑かけたくない、そう思っちゃったんだ。
「ううん、なんでもないっ!
なんとなく蓮の声聴きたくなっちゃっただけ」
《花?》
「急にごめんね!
……じゃあ!」
蓮の反応を待つ前に、私は一方的に電話を切った。
スマホを持っていた手をガクンと下げ、うなだれる。
あぁもう、なにしてるんだろう。
急に電話して、それを勝手に切るなんて、自己中心的もいいところだよね。
でも……こうすることしかできなかった。
怖いなんて甘えちゃ、蓮を困らせるだけだから。
ぎゅっと拳を握りしめて自分を奮い立たせ、もう一度プリントの束と向き合う。


