『おなまえは、なんていうの?』
『コウ』
『コウ、くん……。
ありがとう、おんぶしてくれて……。
花、おもくない? つかれない?』
『ぜんぜん。
大丈夫、君のことは僕が助けるから。
ぜったいに助けてあげるから』
また、涙がじわっと込み上げてきた。
さっきの不安の涙なんかじゃなく、安心と嬉しさからの涙。
悲しいとき以外にも涙は出てくるんだって、このとき初めて知ったの。
─── これが、コウくんとの出会い。
意識が朦朧としてきてしまったせいで、その後のことはよく覚えてない。
次に目を覚ましたときにはもう家にいて、コウくんの姿は見当たらなかった。
“コウ”
分かったのは、この名前だけ ─── 。


