「花、なかなか声だして笑わねぇから。
俺がいた世界でも、今も。
ったく、そんな暗い顔されてると、こっちまで鬱になるっつーの」
「蓮……」
また、優しさが見えた。
そんなこと、気にかけてくれてたんだね……。
ぶっきらぼうな蓮が垣間見せる優しさに触れるたび、言いようのない温かさが心を包み込む。
「もっと飛ばすか?」
静寂を切り裂くように、蓮が明るい声を上げた。
「うん……!」
蓮の背中に掴まっていると、体温が直に伝わってくる。
蓮の背中、大きくてなんだか安心するなぁ……。
見た目は細いのに、その背中は男子であることを改めて実感させられる。
蓮を近くに感じるたびに、心臓の動きが騒がしくなるのはなんでだろう……。


