どういうわけか、ケータイは俺と同じ動きをしているようで、2017年のメールや通話履歴も残っていた。
そしてさらに奇跡的だったのは、病気の症状が、今この身体にないこと。
ケータイと一緒に、ポケットには見たことのない時計のようなものが入っていた。
一見懐中時計に見えるそれは、タイマーのようだった。
きっかり1年分───366日分のタイマー。
1年後、俺が死んだ2017年4月31日になったら、きっとこのタイマーが切れて俺はもう一度死ぬんだろう。
期限付きの命。
でも、もう一度チャンスを貰えた。
花を救う、チャンス。
視線を正面に戻すと、眠っている花の顔がそこにはあった。
俺が死んだ日───あの日の涙を晴らすまで、俺はその笑顔のためだけに生きてやる。
俺は、強くそう誓った。
花の頰に伸ばした手は、触れる寸前に握りしめ、力を込める。
もう一度目を閉じると安堵からか、花の膝の上、すぐに眠りへ誘われた───。


